事例紹介

ケース2

絞りの基本理論から指導。設計からトライ完了までわずか3か月で習得。

クライアント:自社製電気制御機器の専門メーカー(日本:3工場・ベトナム:2工場)

ベトナム工場ではこれまでに絞り型の経験がなく、ステンの絞りという難しいオーダーに見よう見まねで作っていて、常にトラブルが発生していた。
クライアントは抜き曲げのプレス加工までの経験しかなく、今後「絞り工法に関する設計&型製造力をアップしたい」というクライアントの強い要望があった。

「指導して欲しい」

クライアントのベトナム工場にて、プレス点検修理時に工場全体を案内してもらい、個別の相談も受けた。検証した結果、絞りフランジ部シワが多く、絞り頭部のネック割れ、製品寸法の不安定、絞りダイの超硬の割れなど、クライアントのサンプルに問題があった。
それに加え、これまでスタッフに絞り型の経験がなく、見よう見まねでスタンピングしてたが、常時トラブルが続発していたことが分かった。

ミーティングの中で、「型のレベルアップのための指導をお願いしたい」という依頼を受け、深絞り金型指導がスタートした。
これまで絞り加工は未経験ゆえ、ぜひモノにして、スタンピングの拡販につなげたいという会社側の意向があった。
問題の多かったステン材金型の2番型を、自社内で新規設計・製作できるように、絞り理論から指導した。
設計担当者は工科大卒で大変優秀で、理論などは飲み込みが早かった。ただし、絞りに関する経験が少ないため、実施型では問題が多発していた。
新規型においては、意図的にメンバーのアイデアどおりにやらせた。実際にトライさせて、問題が発生することも多々あった。
失敗も経験させ、それを積み重ねながら指導していく方法をとった。
トラブル時が最たる勉強方法となる。机上のみではなく、現場、現物をしっかり確かめながら、設計にいかしていくよう、何度も何度も指導していった。

絞り技術の熱血指導

絞りをやったことのない人にとっては大変複雑なことだったと思う。まず、頭を柔らかくするために、現場に出て、現物を見せて、やってみせた。
設計に必要な発想の転換ができるよう時間をかけて、耐えながら、根気強く続けていった。
金型製作およびトライまで指導し、Rの滑らかさを出せるまで、実質約3か月間トライアンドエラーの連続だった。

後半は素直になり、自らばらしてチェックするようになった。
熱血指導の結果、担当者の成長も著しく、中レベルの絞り金型は自社で対応できるようになった。

本社からも相談。クライアントもさらに躍進

新規設計、製作、トライをクライアントの自社内で完遂。他メーカーの型よりも、製品品質安定、材料の歩留まりのかなりのアップにつながった。
ベトナムメンバーの大きな自信につながった。クライアントからは大変満足していただき、感謝の言葉をいただいた。
その後、たくさんの種類の仕事を受注できるようになったとの連絡があった。
今でも、少し難しいことがあるとすぐ相談が来るような、会社の垣根を越えた良い「師弟関係」のようなお付き合いをしている。

その後、本社(日本の工場)における技術指導の依頼を受けることになり、もっとレベルの高い深絞り金型の指導を実施している。
さらに難しい深絞り技術に関する相談や、企画・設計などにも取り組んでいる。
クライアントの技術レベルがアップしたこともあり、今では国内TOPメーカーへの売り込みを積極的に展開していくなど、クライアントの躍進に貢献することができた。

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